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第6回 新井田貴則さん

「輝く人」インタビュー第6回では、フェスティバル等のイベント制作をされている、新井田貴則さんにお話を伺った。

 

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1.幼少期はどのように過ごしましたか?

 

幼い頃は、下町の文化が残っている町で育ちました。周りには男らしい市場のおじさんたちが多くいて、そんなおじさんたちや愉快な母親のおかげで、人に対してコミュニケーションをとることや、人と一緒にいることが好きになりました。人間同士が本音でぶつかり合って、「こうゆうところは嫌い」とかも含めて、喧嘩ができたりとか、そうゆう一面って、(人と人とが)繋がるのに大切な距離感だと思っています。

 

2.夢はありましたか?

 

全然ないですね。そのとき瞬間、瞬間ではありましたけど。人生はやっぱり、海外に、オーストラリアに行ったことで大きく変わりましたね。初めて海外に行ってみようと思ったのが、大学生の二十歳の時でした。一人で、何も決めずに、お金だけ握りしめてインドネシアに行って。自分で宿を決めて、レンタカーを借りて、友達ができて、助けられたり物を盗まれたり、喧嘩をしたり。自分ひとりで過ごしたその一カ月は、自信になりました。そして、今度は一カ月だけじゃなくて、本当にそこに住んで、文化を知って、その人たちと交流したいなと思って、大学卒業までお金貯めて、卒業してからオーストラリアに行った、っていう。

 

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3.オーストラリアに行ったことで、どのような変化がありましたか?

 

生きることに対して、「なぜ自分が生きているのか」という疑問を持ち、人との出会いに対して、一期一会を大切に、感謝するようになったと思います。

当時(オーストラリアに行く前)の自分は、ものごとをちゃんと見えていなかったと思います。東京ってやっぱり、なんでもレールを引きたがって、「こうゆうものだ」っていうのがあるから、それにのっかちゃっていましたね。みんなが良いというものが良い、となっていたし、それに特に疑問を持ったりはしていなかったんです。

 

4.今のお仕事に通じているような経験はありますか?

 

今の仕事は、イベントやフェスティバルの制作をしていて、フェスティバルのインフラづくり、空間づくりをしている会社です。

昔もんじゃ屋さんでアルバイトをしていたんですけど、そこでお客さんとコミュニケーションをとっていたのは、自分にとって良かったと思います。観光地なんで、来るお客さんはみんな幸せなんですよね。絶対楽しみに来ていて、みんな笑顔でいる。みんな楽しもうと思ってきていて、僕はそうゆう雰囲気が大好きで、今もそういう仕事をしているのと、繋がっていると思います。日常と少し違う空気感で、より楽しんでリラックスして、自分の時間を楽しんでもらいたい。この想いは、今の仕事の価値観にも繋がっていると思います。

 

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5.大切にしている価値観はなんですか?

 

バランス感を大切にしています。イベントをやりたいと言ってくれる人たちの「やりたいこと」が円盤の色や形となるベース。そこに、僕の主観でバランスをとっていく感じです。装飾は、それができる人に、僕が頼む側。「でも、導線ではこうだからさ」とか言いながら、飲食の方とかとも話をして、自分は真ん中に立ってバランスをとっていく感じです。

時にはなにかを犠牲にしないといけないこともあるんですけど、最終的には僕の主観でしか図るしかないこともあって、それがバランスの軸になっています。

 

6.今、またオーストラリアに住むことにしたきっかけは何ですか?

 

今の会社の前社長の死をきっかけに、急に自分が全部をやらなきゃいけないという立場になって、必死に取り組んでいたら、子供もできて、怒涛の6年間がありました。母の死や、子供の誕生。その後震災があって、それが人生を考え直すきっかけになったんです。日本の在り方を考えたとき、自分は少数派で。それを押し通すことも、もちろん大事だけど、それで人に迷惑をかけるなら、自制していくべきだと僕は思っていて。そこで、自分の中で一つ区切りがついて、「よし、日本を出よう」と思えました。

 

仕事をすると、社会の仕組みが見えてくるようになります。僕はその仕組みを追求していくのがすきで、「こうゆう風に成り立っているんだ」と気づいたり、その負の部分も見えてきたりする。結婚をして、自分で選択することや、子供を持って責任感が強まりましたが、仕事をしていく上で、決断力が一番大切だと思うんです。だけど、すぐ決めればいいんじゃなくて、「なぜそう決めたのか」という理由を出せることが大事だと思います。今選んだチョイスは間違っていないと、家族で思えています。

 

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7.新井田さんにとって、「生きる」とは?

 

「どうやったら輝けるのかな」と考えたら、それは、自分が好きなことを精一杯やることだと思いました。怠惰な自分ももちろんいるけれど、それを受けいれることもまた、輝く秘訣だと思う。だから、生きるって「自然にいること」かなって思います。僕、120歳まで生きようと思っているんですけど(笑)、人間はベストコンディションで生きると120歳まで生きるって聞いて。それって、ストレスなく気持ちよくいられるってことだと思うんです。地球は地球で生きていて、こっちはこっちで生きていて、アリンコや石ころも生きていて、そういうのが全部合わさって「生きる」ってことだと思います。

 

あと、人との比較は意味がないと思う。あの人がすごいと思うのは、自分と比べなくてもすごいから、比較はしないです。分析するのは好きですが、「なぜ」を考えた先はいつもシンプルで、「生きているんだから気持ちよく生きよう」っていう答えにたどり着きます。

 

どうせ生きるなら、出会った人には喜んでもらいたいし、なるべく人に迷惑をかけないようにしたいし、自分が生きていることで、何か一つでもいいことができれば、それで世の中が変わったりしたら嬉しいなと思います。